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挑戦権をみずから放棄した社会

御無沙汰しております。
お元気でしたか?
こちらは本業の案件が二転三転しており、なかなかやるせない日々です。

そんな日々の中、書物を紐解いています。
先程読み終えたのが、あの新井 紀子 先生の『AI vs. 教科書が読めない子供たち』という警醒の書です。
たいへん愉しく読み進めたのですが、同時に、自分は文章を「読解」できているのか不安になりましたね。『帽子をかぶった女の子がいる』の例題で誤答してしまったためです。命題として考えれば対偶を取ったり、ベン図(集合論)を書けば理解できそうなことをサボって間違えてしまいました。

わたしは近年、教育分野に関心を持って活動してきたのですが、その過程での流行り廃りで、「リメディアル教育」だの「早期英語教育」だの、「アクティヴ・ラーニング」「リベラル・アーツ」「プログラミング教育」といったキャッチ・フレーズが巷間を賑わせてきたのを眺めてきました。

ですが、そういったキャッチ・フレーズたちは表面を撫でるようなものでしかなく、結局(新井先生の言うとおり)『文章の読解力こそが決め手』であることに得心しました。


まあ、自分も御多分にもれず AI 関連技術(GAN とか RNN とか)は独学しています。
めざましい躍進が各所から伝えられているのは、みなさんも御存知の通りです。
ですが、そういった華々しいところからは見えない『本質的困難さ』、これを直視しなければなりません。

自分は高校の頃、神林 長平の『敵は海賊』シリーズなど SF を愛読して、人工知能研究者を目指していたのですが大学入学直後、『人工知能辞典』でドレイファスの否定的見解にふれ、そこから迷走を始めました。'92 年の話です。当時はマシン・パワーも現代に比べ格段に非力で、取り扱い可能データ量も少なく、今日のように機械学習(深層学習)が力を発揮することなどありえませんでした。

ですから、いまの AI 関連トピックを傍らから眺めていると、隔世の感が強いのです。
それで多少は手遊びで、それらの技術を独学しているのですが、どうも、わたしにはここまでの blank を catch up できるだけの才能はないようなのです。


ですが、個人的にまだまだ生き残らなければならない理由があるので、ここでカンタンに諦める訳にも行きません。そのときの生存戦略として、どこを狙うか、非常に考えさせられたのが本書でした。だって、大雑把な謂い方をすれば、かなりの割合で、人間は文章をまともに読解できないのですよ? 本書中では明言されていませんでしたが「国際比較で上位にある日本においてすら」「全世代的に」「3 人に 1 人から 2 人に 1 人ぐらいの人々が」文章を理解するのに困難を抱えているのです。ダメですよ、そこ、自分の上司や先輩で思い当たる顔を浮かべては?


自分には禅の先輩がいます。
まあ一応、往事の此の国のトップ校を卒業したぐらいの人です。
社会的にも、それなりの活躍をしてきたキャリアがあります。
それはともかく、悟りの目が深い。

その先輩が言うには『勉強とは読み書きソロバンが重要。それだけやればいい』のだそうです。それは極論ではなく、より根源的な学習能力とは、という論点について彼が率直に述べた見解なのです。

今回、わたしは『文章の読解力こそが核心』という問題について処方箋を持っていません。ただ、すこしでも生き残れる「仲間」を増やすために、寺子屋めいた活動に傾注していこう、と決意しました。


余談ですが、はっきりいって悲観的な未来予測をしています。
すくなくとも日本は、東京五輪開催後に(近年、多くの開催国が陥ったように)長期不況に陥り、かなり困難な時代を迎える中で、激動する国際環境への適応を迫られるでしょう。人口動態も当面は回復しようがありません。そして、シンギュラリティーは来なくとも、AI 関連技術に見られるようなシステム化は全域を覆うようになり、大きな淘汰圧をこの社会の成員たちに掛けていくことでしょう。相当ストレスフルな社会になることは間違いありません。

ここで、あきらめても良いんです。
わたしはもう、イイ歳ですから。

ですが「これから」を生きる若者たち、こどもたちに、それは酷です。
ですから、わたしなりに教えられることは教えてから立ち去りたい。
そう思って、地道な活動を続けよう、と再決心した次第です。

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